小説ピチモ物語

小説ピチモ物語

ある日、乃愛に郵便がとどきました。

「わぁ〜! いぶたんからだ〜♪」

さっそく封を開けると、中には手紙とひまわりの種が入っていました。

「あっ、ひまわりの種だ。のあ、大好物なの〜♪」

食いしん坊な上、文字を読むのが苦手な乃愛は、手紙を読まずにそのまま、ひまわりの種を食べてしまいました。

≪パクパクパク≫

その後。

乃愛は、美吹に電話しました。

「もしもし、いぶたん? ありがと〜♪ ひまわりの種、とぉ〜ってもおいしかったよぉ☆」

しかし、美吹の反応は、乃愛にとって意外なものでした。

「のあったら、ひどい。食べちゃうなんて!! うちは、のあに、ひまわりのお花を見てほしかったのに」

続けて。

「だからね、ちゃんと『この種をまいてね』ってお手紙、入れておいたのに」

さあ大変。

お礼の電話をしたのに、美吹は泣き出してしまいました。

「のあのバカ! もう知らない! え〜ん(泣)え〜ん(泣)」

びっくりした乃愛は、

「いぶたん、ちょっと待っててね」

と言うと、改めて美吹からの手紙を、がんばって読んでみました。

するとそこには、美吹の几帳面な文字で、ひまわりの育て方まで書いてありました。

(お手紙をちゃんと読まなかった、のあにゃんこがいけなかったんだ・・・)

乃愛は、心から反省し、必死で美吹に謝りました。

「いぶたん。ごめんね〜、ごめんね〜」






それから数日後。

美吹は、もう一度ひまわりの種を送ってくれました。

乃愛は、今度こそ手紙の指示通りに種をまいて、水をやりました。

そして、ある朝。

乃愛は、植木鉢に小さな小さな緑色の芽が出ているのを見つけました。

「いぶたんに知らせなくちゃ!」

そこでこんどは、自分から美吹にお手紙を書くことにしました。

それは、乃愛が生まれて初めて書いた手紙でした。

〜おしまい〜

⇒#2「のあにゃん、エースへの道!」